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大阪・関西万博訪問記2025.10.10

おすすめパビリオン④コモンD パレスチナブース


今回は、訪れたパビリオンの展示の中から興味深かったものを紹介します。

それはコモンズD館のパレスチナブースに展示されていた、伝統の手刺繡です。

 

台の上に置かれたチラシ

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これは「タトリーズ」と呼ばれる伝統的なクロスステッチの刺繍で、2021年12月ユネスコの無形文化遺産にも登録されました。伝統的な模様には花、木、星、月、ブドウやナツメヤシといった生活の身近にあるものが多くみられ、地中海沿岸に多く自生している糸杉も特徴的なモチーフの一つです。加えてモチーフ一つ一つには健康、子孫繁栄、魔よけなどのメッセージも込められています。

 

展示横の説明にも記載されている通り、たとえ同じデザインでも町や村によって少しずつその形や色合いが異なり、その人が身に着けた刺繍を見れば出身地がわかるといわれるほど地域性を反映しています。

 

例えばパレスチナからの移民が多いレバノンの難民キャンプは、パレスチナ北部のガリラヤ地方や沿岸部出身者が多く、繊細で軽やかな色と柄が特徴的です。一方、アフリカ半島に近いシナイ半島やガザでは砂漠の遊牧民ベドウィなどによる、風土を由来としたビビッドなカラーが特徴的です。

 

これらの女性たちの刺繍は、政府により出稼ぎの許可がされていない現在のパレスチナにおいて各家庭の貴重な現金収入源となっています。つまり、パレスチナ刺繍は困難な状況の中でも女性たちにより受け継がれ、手仕事で生計を立て、文化を次世代に伝える重要な役割を担っているのです。

 

 

今回私が大阪関西万博に行くことが出来てよかったと思う理由の一つに、パレスチナのような直接訪れることが難しい国々の空気感を直接味わえる、ということがあります。

パレスチナを含む多くの国と地域は、情勢が不安定なことなどを理由に、外務省の渡航禁止区域に登録され、渡航することが非常に厳しくなっています。今回の万博に訪れなければこの先一生出会うことのできなかった文化や、今回初めて認識した国や特産品など、学びが多く私にとってとても貴重な経験となりました。次回のリヤド万博で日本のほか各国がどのような展示をするのかにも関心を持っていきたいと思います。

(YMさん)

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