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大阪・関西万博訪問記2025.10.30

サウジアラビア館・インド館

万国博覧会

-統と革新が交差する場所-


 万国博覧会が日本で開催されるというのは、一生に一度あるかないかの経験である。私は国際文化を専攻する大学生として、「世界を自分の目で見る」ことの意義を確かめたいという思いから、この万博に参加した。昨年度の留学を通して、サウジアラビアやクウェート、スイスなど、それまでの自分の想像を超えた文化的背景をもつ留学生たちに多く出会った。彼らの話を聞くうちに、彼らの国を「知識」ではなく「体験」として理解したいという願いが芽生えた。その願いを実際に叶える機会が、この万博だった。

 最も印象に残ったパビリオンは、サウジアラビア館である。白を基調とした建築の内部には巨大なスクリーンが連なり、科学技術や都市開発、そして何より「女性の社会的進出」を象徴する映像が次々と映し出されていた。砂漠とオイルマネーのイメージが強かったサウジアラビアが、未来志向の姿で自らを語っていたのが印象的だった。一方で私は、留学中に女性の留学生が一人もアラブ圏から来なかったのを知っている。クウェートなどを含め、40人ほどのアラブ圏出身の留学生に出会ったが、女性は一人もいなかった。他の地域や国ではありえない比率である。国として、地域として、変わろうとしていることを感じつつも、女性が平等に教育と社会進出の権利を得るのはまだ先の話かもしれないと感じた。

 しかし壮大で鮮明な展示を通し、国家が文化的価値をどのように「再定義」し、世界に発信していくのかという、伝統と時代に合わせた変化の融合を実感するパビリオンだった。

 一方で、インド(バーラト)館ではまったく異なるアプローチをとっていた。そこでは伝統的な工芸や宗教美術が、色鮮やかに、そして静謐に展示されていた。金細工や布地の緻密な模様には、数百年の時間が宿っているようだった。展示の最後に味わったインドの甘味は、砂糖よりもスパイスの香りが強く、単なる「味覚」ではなく「文化の層」を舌で感じるような体験だった。近代化を象徴するサウジアラビア館に対し、インド館は文化の根を大切にしながら、芸術という形で自らを表現していた。

 この二つのパビリオンを通して、文化とは、過去の遺産と未来のビジョンの交差点に立つものであり、その多様性を理解しようとする姿勢こそ、国際文化を学ぶ者に求められていると感じた。万博で出会った多様な文化の表現方法の中に、異なる世界を互いに理解するための入口を見つけたような気がする。

(3年SMさん)

A person and person in white robes

Description automatically generatedA person's face on a curved screen

Description automatically generatedA close-up of a carpet

Description automatically generatedA group of people looking at a picture

Description automatically generatedA picture of people riding bikes on a wall

Description automatically generatedA tree in a room

Description automatically generatedA building with a white structure with a white flower shaped entrance

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