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大阪・関西万博訪問記2025.12.12

インドネシア館・タイ館

10月13日に最終日を迎え、半年間にわたって続いた大阪・関西万博。大学からチケットをいただき、私もこの夏夢洲を訪れた。私が生きている間に大阪で万博が開かれるのはおそらく最初で最後だろう。教科書でしか知らなかった「万博」というものを実際に自分の目で見ることができたのは非常に貴重な体験となった。


大屋根リング

会場に入ってまず目を奪われたのは、何かと話題だったシンボル「大屋根リング」だ。世界最大の木造建築物だけあり、実際に目にすると想像以上のスケール。写真やテレビで見るよりも迫力があり、まるで空に浮かぶ輪のように会場全体を包み込んでいた。リングの上と下を歩けるようになっており、下の通路は広々としていてベンチも多く、ご飯を食べたり、談笑している人で溢れていた。また、リングは上にも上がれる構造になっていた。上へ登るとまた違った景色が見られた。万博会場の夢洲は護岸に囲まれた人工島だ。下からは海は見えないのだが、リングの上に登ると海や山、高層ビルなど様々な景色を見ることができる。そして、リングの内側を見ると、各国のパビリオンを見渡すことができる。さらに時間によっても景色が変化した。夕方になると夕日がリングに差し込み、木肌をオレンジ色に染めていた。光の差し込み方や風の通り方も計算されているようで、建築そのものがまさに「人を集め、つなぐ」装置のように感じられた。

 


アジア圏のパビリオン

 私はアジア文化に興味があることもあり、アジア各国を中心に回った。特に印象に残ったのはインドネシア館とタイ館だ。

 インドネシア館では、入り口でスタッフの方々が笑顔で声をかけてくれ、お祭りのような賑やかさだった。伝統衣装に身を包んだダンサーのパフォーマンスやスタッフによる陽気な歌声が響き、野外フェスのようだった。インドネシアの国民性や空気感を感じることができた。一歩中に入ると、外の陽気さとは対照的に、ジャングルのような静けさが広がっていた。照明を落とした展示空間には、実際にインドネシアから持ってきた植物が生い茂り、湿った空気と土の匂いが漂っていた。自然とともに生きるインドネシアの文化が、五感を通して伝わってくるようなパビリオンだった。展示を見ているうちに、自分もその国の空気を少しだけ吸っているような不思議な感覚になった。


 タイ館は、寺院のような装飾が目を引く建物で、「よい食事、豊かな生活、免疫力の高い国タイ」をテーマにしていた。中に入るとスパイスの香りが漂い、市場の中に迷い込んだような感覚に包まれた。展示では、伝統行事や食文化に加え、医療や健康づくりにも焦点が当てられていた。タイが健康関連活動部門で世界第2位だというのは初めて知った。健康状態をチェックできるブースもあり、「食の国」という印象の裏に、生活の質を重視する国民性を感じた。タイの伝統的な食文化や公衆衛生。そして今のタイ医療。過去と未来に目を向けた展示であった。


パビリオン建築の個性

展示内容だけでなく、建物そのものも見応えがあった。会場には180を超えるパビリオンが並び、外観のデザインは国ごとに全く異なる。曲線を活かした近未来的な建築もあれば、土や竹を用いた素朴な構造もある。限られた土地にこれほど多様な建築様式が集まる機会は他にない。

入場予約の抽選に外れ、入れなかったパビリオンも、外観を眺めるだけでも、その国の美意識や思想が伝わってきた。


万博を通して感じたこと

今回の万博では、「未来社会の実験場」というコンセプトのもと、技術や環境だけでなく“文化そのもの”がテーマとして取り上げられていたように思う。どの国のパビリオンでも、自国の伝統と未来をどうつなぐかという問いが表現されており、それぞれの国の「生きる知恵」が感じられた。違いを超えて互いを理解しようとする万博の姿勢は、これからの社会を考えるうえでも大きなヒントになると感じた。また、あまり知らなかった国や様々な社会情勢からなかなか行くことのできない国の文化や風土の一部に触れることができたのは貴重な機会だった。世の中は知らないことだらけで、世界は本当に広い。そして、自分がその中のひとりとして、もっと多くの文化を見て学びたいと改めて思った万博だった。

(4年 I.N.さん)

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