アメリカ体験記

アメリカ体験記 S.K.さん


留学先:アメリカ、オレゴン大学 School of Journalism and Communication (SOJC)

期間:2025年9月〜2026年6月(2年後期〜3年前期)

滞在形式:学校寮


・大学や語学学校での勉強ついて

 アメリカのオレゴン大学ではジャーナリズムを専攻し、主に報道倫理や公共の利益について学びを深めました。ジャーナリズムやメディアに関する授業を中心に履修する一方で、犯罪学やフードスタディーズ、ゲームスタディーズなど、日本ではあまり馴染みのない分野にも触れました。専門の枠を超えてさまざまなテーマを学べたことは、現代社会全体を複眼的に捉えるきっかけになったと感じています。

 授業では、教員の講義を聞くだけでなく、ディスカッションやグループワークを通して、自分の考えを主体的に言葉にすることが求められました。特にジャーナリズムの授業には、実際のニュースを分析したり、地域社会に出て調査したりするなど、将来の仕事を意識した実践的な課題が多くありました。授業での学びを現実の社会と結びつけて考える中で、自分が将来どのように情報発信に関わりたいのかを見つめ直すことができました。

 勉強面で直面した課題は、専門的な内容を英語で理解し、自分の意見を形成することでした。現地のニュース記事や判例、学術資料を読み解くには、アメリカの政治や社会情勢に関する前提知識が必要であり、授業内容の理解に苦労する場面も多くありました。そのため、日常的に現地のニュースを読むことを習慣にし、わからない言葉や制度があれば、その都度調べて理解するよう心掛けました。その結果、授業を以前より理解できるようになっただけでなく、アメリカで起きている出来事をより身近なものとして捉えられるようになりました。


オレゴンフットボール

 

 Springfield Policeへの現地調査

 

 教室

 

・自分の研究テーマについて

 SOJCでは、報道倫理を学ぶ中で、「事実の伝達」と「客観性」を軸に学びを深めました。授業では、事実を歪めたり、誤解を招くような表現は避けたりすることの重要性に加え、取材や調査の進め方についても学びました。実際の調査では、時間をかけて幅広い対象から情報を集め、得られたデータや追加資料をもとに検証を重ねることで、信頼性と説得力のある考察につなげることの重要性を実感しました。

 また、客観性についての議論は非常に興味深いものでした。現地のニュース記事を比較・分析する中で、報道機関ごとに視点や表現が異なることを知り、完全に客観的な報道は存在しないことを学びました。人はそれぞれ異なる背景や価値観を持っており、それらは情報の解釈や表現に少なからず影響を与えます。だからこそ重要なのは、客観性を装うことではなく、自らのバイアスを自覚した上で、事実に誠実に向き合い。公平性を追求する姿勢であると考えるようになりました。

 SOJCでの学びは、報道やメディアに対する考え方を大きく変える経験となりました。この経験を土台とし、今後は映像作品におけるジャーナリズムの役割や倫理について研究を深め、多角的な視点から映像表現を分析していきたいと考えています。

 

・生活面について

 ユージーンは豊かな自然に囲まれた、落ち着いた雰囲気の街でした。休日にはハイキングや海へ出かけるなど、自然の中で過ごす時間が良いリフレッシュになりました。寮では2人のルームメイトと生活し、文化や生活習慣の違いに戸惑うこともありましたが、互いを尊重しながら過ごした経験は異文化と向き合う上で貴重な機会となりました。



 一方で、アメリカ社会が抱える課題を身近に感じる出来事もありました。特に印象に残っているのは、アメリカ合衆国移民・関税執行局(ICE)の活動が、キャンパスから徒歩圏内で行われていたことです。当時、ヒスパニック系移民がICEに拘束される様子を撮影した動画がSNSで共有されており、ニュースで見ていた出来事が、自分の生活圏で起きている現実であることに衝撃を受けました。

 この経験を通して、日本で暮らしていた頃にはあまり意識していなかった安全な生活環境や社会制度について改めて考えるようになりました。同時に、多様な人々が暮らし、社会課題が身近に存在する環境だからこそ、政治や社会の出来事を自分自身の問題として捉え、積極的に関心を持つ人々が多いことも実感しました。政治や社会は決して遠い存在ではなく、一人ひとりの生活と密接に繋がっていることを改めて学びました。


 ICEに関するグラフィティ


・まとめ

 今回の留学は、私自身の将来を考える上で非常に大きな経験となりました。アメリカの社会を学び、日本と比較したことで、日本社会の良い面と改善すべき課題の両方に気づくことができたと感じています。また、ニュースや社会課題を一面的に捉えるのではなく、その背景まで考える姿勢や探究心を身に付けることができました。今後はこの経験を研究に生かすとともに、ニュースを通して社会課題を身近なものとして捉え続け、日本社会に役立てる人材を目指していきたいと考えています。